生物の授業では,実験や観察に生きた教材が必要です。そのために,いろいろな動植物を飼育したり,栽培したりしています。下の上段左の写真は,ハンドボールコート脇にある,生物の教材園です。本日は,今,花が咲いている教材植物を3種,紹介します。
ムラサキツユクサ(写真上段右)
花がきれいなので,庭等にもよく植えられています。おしべに細胞が一列に並んだ紫色の毛が多数生えています。その毛の細胞を観察すると,発達した液胞とよばれる構造があり,その間を盛んに動く小さな粒子を観察することができます。原形質流動とよばれる現象です。これを見ると細胞が生きていることを実感できます。ただ,この花は,午前中だけ開き,午後はしぼんでしまうので,午後の授業には使えません。
ユキノシタ(写真下段左)
葉が冬も枯れず,雪の下でも緑色をしているので,ユキノシタと言います。葉の裏の表皮が赤く,この表皮を使って原形質分離とよばれる現象の観察を行います。教材とは関係ありませんが,生薬としても有名です。生薬名は虎耳草と言い,湿疹,かぶれ,やけどなどに利用されています。また,葉は天ぷらにして食べられます。
アスパラガス(写真下段右)
ユリ科の植物です。新芽を野菜として食用にしますが,ユリの仲間だということを知っている人は少ないでしょう。目立たない小さな花をつけていました。授業では,単子葉植物の茎の断面を観察するのに使っています。単子葉植物の茎の観察にはトウモロコシがよく用いられますが,アスパラガスは,切りやすく,春から秋遅くまで,いつでも観察できるので重宝します。繁殖旺盛なので,春には本数を減らすために新芽を間引きします。採りたては大変,美味でした。