1年生からのご報告です。とはいえ今年の主なイベントも終わり、第4回テストを残すだけという2月末、「教員日誌」の話題もなかなか見つかりません。で、ありきたりな授業の様子をご紹介することにしました。
科目は「国語b」、私が担当する授業です。1年生国語では、1年かけて百人一首を全部覚えよう、暗唱できるようにしよう、という取り組みを行ってきました。定期テストが4回、25首ずつ分けて試験範囲に割り振り、正しく暗記しているか確かめています。
私は、1回の授業で2首ずつ黒板に書き、みんなで一斉に読みあげたり意味を解説したり、25分ぐらいかけて教えています。写真は1組の様子ですが、今日は97番「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」(藤原定家)と、98番「風そよぐならの小川の夕暮はみそぎぞ夏のしるしなりける」(藤原家隆)の2首でした。そう、次回の授業でついに100首まで到達するのです。4月あたりは順調に覚えてきたのですが、2月ともなればかなりアヤしくなり、語句を間違えたり、別の歌と混線したり、大変な苦闘ぶりです。「もう覚えられませ~ん」という悲痛な叫びも……。しかしこれも一種の修業ですから、たっぷり苦労して覚えてもらいましょう。
学習の目的は「古い日本語のリズムやことばの響きを知ること」。カルタ取り名人のように、有名な和歌を「音」として身につけておいてほしいわけです。ですから意味は(今のところ)それほど重要でなく、覚えるための手がかりとなる程度に、簡略化して話すだけです。ときどき「先生、『身も焦がれる』ってどういうことですか?」などという質問も出され、「んー、好きな人に会いたくてたまらないっていうか……でもまァ中1の男子にはわからないよな~」などというアヤフヤな返答になったりもします。
人間だから一度覚えたものを忘れてしまうことは仕方ないし、間違いも避けられません。けれど、忘れても忘れても繰り返し覚えようと努力することが大事です。一つでも多くの和歌を身につけておいてほしいのです。すぐ役に立つ知識ではありませんが、数年後必ず「ことばの力」として開花し、豊かな言語生活を送る基礎となってくれるはず。そう信じて、毎回地味~~に覚えていくのです。