修道学園通信 vol.116
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6The Shudogakuen News vol.116内藤 弘泰(5年学年主任)5年 学年報告トピックス 2025年1月18日(土)・19日(日)、5年目となる共通テストが行われた。新課程になって初めての今回の共通テストでは、話題にのぼっている「情報」が初めて出題されるほか、国語では現代文の大問が1つ追加されて試験時間が10分延長され、数学では数学ⅡBだった範囲が数学ⅡBCになってやはり10分延長され、「社会」では歴史総合・地理総合・公共という新しい科目を加えた出題が行われるなど、いくつかの変更点が注目された。 「情報」は、現役生の新課程「情報Ⅰ」も既卒生の「旧情報」も平均点は70点(満点100点)程度で大きな差はなく、予備校が予想する総合1000点満点での平均得点率62~63%を上回っていて、平均点を押し下げる要因にはならなかった。出題傾向も数年前に発表された試作問題の形式を踏襲しており、特有の知識を必要とする計算問題も出題されず、多くの予備校は思考力・判断力を問う意図が感じられたと評している。 国語では試作問題以来注目されていたグラフなどを使う問題が注目されたが、試作問題よりも解きやすい出題であったと分析されている。また、現代文が1問増える負担への配慮と考えられるが、昨年いくつも見られた選択肢5つの出題が消え、従来型の選択肢4つからの選択に戻った。全体(200点満点)の平均得点率は63%程度で昨年よりも10点程度上昇した。 数学ⅡBCは、平均点が昨年の数学ⅡBよりも6点程度下がるが、試作問題に比べて分量が少なく、誘導もつけられていたため、数学が得意な受験生には解きやすい問題であったと評されている。 「社会」では、歴史総合・日本史探究において日本史の知識だけでは対応できない問題が出題された。地理総合・地理探究でも初見の資料や複数の資料を使う出題がなされて平均が下がった一方、歴史総合・世界史探究は基本的な知識を必要とする問題が多く平均点が上昇した。とは言え、平均点の差は100点中1桁で、大きな影響はないであろう。 予備校の予想では総合の得点率は文理共に昨年よりも2%程度上昇する。リーディングでは素材文の語彙数が昨年の86%程度へ減少し、平均点もアップしている。科目・時間が増える負担に対する配慮とも考えられるが、いくつもの予備校が5年目を迎えた共通テストに、「安定」「バランス」という評価を与えている。変更が実施されて様子が分かった翌年には「歯ごたえ」のある問題が出題されたことも過去にはあるが、単なる知識ではなく、知識に基づいた思考力・判断力を測るという傾向は維持されている。思考力・判断力は、直前の追い込みで身につくものではなく、下の学年から授業中に自分の頭を鍛えようとする意識によってしか身につかないことを肝に銘じるべきであろう。 私立大学の入試については、昨年12月に東洋大学が行った「学校推薦入試基礎学力テスト型(公募制・併願可)」が議論を呼んでいる。募集人数578人に対して志願者が約2万人で、倍率は約35倍となった。この入試は、時間のかかる志願書や志望理由書などは必要なく、学校長の推薦書と調査書だけ出願でき、小論文や面接も課されず、「英語・国語」か「英語・数学」の基礎学力テストだけで合否が判定される。合格しても入学の義務はなく、他大学や、東洋大学の他学部の一般入試や推薦入試も受験することができる。つまり、合格して入学金を入れておけば他の「滑り止め」を受験する必要がなくなるのである。 大学入試のルールでは「個別学力検査の試験期日は2月1日から3月25日までの間」と定められており、東洋大学のこの入試が、高校の成績の基準や面接もなく、事実上学力だけで合否を決める年内入試だという批判もあるが、追随する大学が出てくることも予想されており、文部科学省がルールを守るように指導したのに対して大学は反発しているとも報道されている。 実はこのタイプの推薦入試は、関西では、「産近甲龍」と呼ばれる京都産業大学・近畿大学・甲南大学・龍谷大学などでは以前から行われており、文科省は関西の大学にもルールを遵守するよう要請するとしているものの、「なぜ今さら」という反発も予想されている。 18歳人口の減少に伴って私立大学が定員確保のために様々な方策を模索する中で生まれた経営面由来の問題であると考えているが、大学入試が「得点だけの年明け入試と学力軽視の年内入試」になっているというネット上の記事もあり、大学入試制度にはあまり関心をお持ちではない方もおられる印象も受ける大学の先生を含めて、「大学で何を学ぶために、大学入試で何の力を測ることが必要なのか」という基本に立ち返った議論が進むことを期待したい。 修学旅行は9月30日~10月3日において、東京方面で実施されました。一昨年に船会社の客船事業の撤退をうけ、3年FLPに始まる本校の探求学習の総仕上げの行事として、昨年度より新しく生まれ変わりました。 1日目は、11のコース(NTT通研、アストロスケール、NIFCO、NTTe-cityLabo、JAXA相模原、東京都現代美術館、株式会社エアークローゼット等)に分かれて、大企業での研修や修道OBとのトークセッションなど、各コースで企画された特色あるプログラムに参加し、半年間行ってきた探究学習の仕上げとして、有意義な時間を過ごしました。 2日目は、奥多摩まで移動し、ラフティング。水しぶきをかぶりながらの川下りはたいへん刺激的でした。この学年は、コロナの影響で林間学校とカッター研修が実施できませんでしたので、全員で自然に触れ、舟を漕ぐ経験をさせてあげることができてよかったです。 3日目は東京自由散策で、班ごとに立てた計画に従い、東京中に散っていきました。スカイツリー、浅草で観光をしたり、ディズニーシーまで行ってきた班もありました。夜には東京ドームシティのイベントスペースを貸し切ってお楽しみ会を行い、仲間との絆を深めることができました。 修学旅行以外の大きなイベントとして、299年祭での食品販売がありましたが、校舎改築の関係でスペースが十分に取れない、という問題が浮上しました。その状況を乗り越えるため、教員と生徒がアイデアを出し合って、メニューのスリム化、お客さんの動線の確保などの問題点を克服して実施にこぎつけました。特に、家庭科室への移動のために工事現場のスペースを使わせていただけたことは本当に助かりました。工事関係の方に感謝を申し上げます。 様々な行事を通して、彼らが自主性を発揮しつつ、「全員で楽しむ姿勢」「困っている人に手を差し伸べる」「お世話になった人に感謝を伝える」などの大切なことが身についていることが垣間見え、立派に成長してくれていることを頼もしく感じました。ラスト1年が充実したものになるよう、しっかりとサポートしていきたいと思います。遠藤 伸彦(進路部長)進路学年報告

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