修道学園通信 vol.114
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組組組7 3年間は学校内で、宿泊しない「通い」で行なった東大京大セミナーも、今年度は実際に神石高原町の光信寺で、8月16日(水)~18日(金)の2泊3日で宿泊して行うことが可能になった。2泊3日の合宿をするだけで東大・京大に合格するのであれば苦労はない。合宿の目的は「自分が何を変えなくてはならないかに気づく3日間にする」であった。 東大京大セミナーの「売り」の一つが東大京大に通うOBとの座談会である。例年5~6人の卒業生が受験勉強や大学生活を語り、生徒の質問に答えてくれる。実施にあたってネックだと考えたのが「校内に誰も宿泊の東大京大セミナーに参加した生徒がいない」「OBの大学生も、2年生・1年生は宿泊のセミナーでOBの話を聞いた経験がない」「大学3~1年生はコロナで『大学生らしい』大学生活を送ることができていない」ということであった。コロナ前であれば本校の5年生が6年生から「東大京大セミナー?、寺に泊まるやつ?、俺も参加して…だったよ」とか「この班の〇〇も参加したと思う」のような感想を聞くことがあっただろうが、それもなく、OBも大学3年生以下の学年ばかりだと「大学ではリモートの画面で授業を聞いたり、誰かの実験を画面で見て…」のような話になり、現役の5年生が送るであろう大学生活をイメージさせるのは難しいと考えた。 5年生へのプッシュは学年団の先生に任せるとして、OBの人選は、東大京大のバランス、理系文系のバランス、学年のバランスを考える必要があり、来てもらえるのかという不安の中で人選を始めた。これまでは、大学3年生は「サークルの幹部で合宿が…」、4年生は「大学院の試験が…」や「就職決まったんで友達と旅行に…」、大学院生は「研究が忙しくて…」という返事が多く、結果的に来てもらえる大学1・2年生は、受験勉強以外の研究に関する質問には「まだ専門の勉強をやってないので、大学の研究の詳しいことは実感がないのですが…」と答えざるをえないのが実情であった。 まずは大学での研究を話してもらえるOBを見つけないと、受験勉強とコロナ対応の大学生活の話になってしまうと考え、以前大学1年の時にセミナーで話をしてもらった東京大学理学部の大学院生にダメもとで連絡したところ、快く引き受けてくれ、さらに友人の京都大学工学部4年生が参加を申し出てくれた。文系では、担任から推薦のあった京都大学法学部4年生が法科大学院の試験の前であるにもかかわらず快諾してくれ、社会人経験のある東京大学経済学部卒業のOB、若手では東京大学理系1年の2人も参加を了承してくれ、予想以上に早い段階でバランスの取れたメンバーの参加が決まった。これまでは3年生が1~2人と1・2年生という構成が普通だったのに対し、社会人経験のある文系OB・理系大学院生・大学院に進む予定の文系理系の4年生、受験が終わったばかりの1年生という「史上最強OB」ともいうべきメンバーが集まってくれた。 内容については生徒の感想で説明に代えることとする。・ 東大京大の数学や英語などを全く手の届かないものだと認識していましたが、実際解いてみると、日々の積み重ねによって解けるようになるものだということがわかりました。・ 思っていたよりもためになりました。勉強だけではなくその他いろいろな面(大学受験までにどこを改善すべきかなど)でも成長できたと思います。・ 合格をゴールと捉えずに、自分の将来の目標へといろいろ考えながら進んでいる先輩たちに驚きました。普段から、受験で一つの大きな区切りだと思っていた僕は、もっと未来を見て勉強するべきなのだと思い知らされました。・合格した先輩との話し合いから得るものが思っていた以上に多かった。・先輩の受験期の苦労やメンタルの保ち方が聞けて参考になった。・周りの友達の意識が高く、いい刺激になった。・ごはんが思ったより豪華だった。東大生、京大生の話を聞けるだけでなく、入試の傾向などを実際の問題を通して学べた。・3日目の朝に、5時過ぎから自習をしていた人が10人ほどいたと聞いて、驚いた。 授業の内容は、東大京大の問題も普段の授業内容の理解をベースにして解くことができることが伝わように工夫してもらっており、その意図は十分伝わっているといえるだろう。また、先輩たちの話も思っていた以上に心に響いたようだ。終わった後でOB達はもっと話したかったというような感想を言ってくれており、OB達の後輩を思う熱い気持ちが、単に「勉強していけば手が届く問題だと分かりました」だけではない、質の違うモチベーションを引き出してくれていることを実感したセミナーであった。 私も走ったことがある。同じ班活動の同級生と、スタートからずっと、最後の最後まで競り合いながら走っていた。負けたくなかった。ゴールも近くなったところで、私が前に出た。後ろを振り返る余裕などないが、なんとなく感じる彼の気配は、ほんの少しだが後方だった。このまま先にゴールできそうだ。そのとき、彼が大きな声を発した。「うしろ、きた!」その声が聞こえると同時に真横に影が現れた。私は激しく動揺し、慌てながらも必死に走った。が、抜かれてしまったかもしれない… 結果的には、突如現れた相手は他学年で、私や彼の順位に関係するものではなかった。前を行く私はもちろん苦しかったのだが、後ろを追いかける彼は私以上だったはず。そういった状況の中で、私のために声をかけてくれた。あのときからずっと思っている。立場が逆なら同じ行動がとれたのだろうか、いやとりたいと。 こういった出来事の1つ1つが、今の自分を作っているのではないかと思っています。今回走った皆さん、練習から本番にかけてなにか自分の中に残る出来事はありましたか? 走ったことのある皆さん、今もなにか思い出すことはありますか? 見守っていただいた皆さん、走者の成長をご期待ください。 節目となる50回目の宮島マラソン大会が、無事開催できたことに感謝致します。ありがとうございました。高校の部12.4km(宮島小中-入浜)順位名 前タイム4年2組野田 和聖44:0814年4組尾方 瞭介46:3324年4組村岡 駿兵47:5934年1組二村 洸斗48:44454年4組沼田 航平49:3564年5組三浦 佑介51:2274年5組深井 恵梧51:375年5組村尾 亮太52:00894年1組吉岡 樹央52:27105年2組伊藤甲太郎53:00中学の部6.4km(宮島小中-包ケ浦)順位名 前タイム3年1組内藤 貴秀22:2912年5組小椋 颯人22:4422年4組重松宗次郎24:0732年4組三島 大知24:17452年6組杉野 颯真24:2762年6組山根 大輝24:3072年1組笹木  蓮24:473年1組伊藤凜太朗24:58893年2組広近 圭佑24:59103年5組藤岡 大颯25:00学年優勝名 前タイム5年5組村尾 亮太52:00野田 和聖44:084年2組3年1組内藤 貴秀22:29小椋 颯人22:442年5組1年6組栗久 稜央25:39東大見学ツアー東大京大セミナー報告マラソン大会について安本 芳朗(保健体育科教科主任)遠藤 伸彦(進路部長) コロナが5類扱いになった2023年度は、ここ2年はリモートで行った東大見学ツアーを実際に東京大学に伺って実施することが可能になった。3年前までは初日が薬学部、2日目が工学部の見学をさせていただくパターンが続いていたが、今年度、初日は農学部を見学することとなった。コロナが5類になったとはいえ、東京大学がコロナ前と同様に高校生の見学を受け入れているわけではなく、建物内部に入るのも見学も、東大で教えておられる先生についていただくことが必要であった。今年度はコロナ以前からお世話をしていただいており、ここ2年はスマホをかざしながら東大の中を歩いてリモート見学の画像を修道に送っていただいた52回生の長藤圭介先生(工学部)に加え、新しく57回生の森脇由隆先生(農学部)にお世話いただいた。これまでも多くの先生にお世話になったが、2名ともOBというのは初めてで、大学が完全にコロナ前の態勢に戻っているわけではない段階で以前と同様の見学が可能になったのも、OBの方々の母校と後輩を思っていただくお気持ちがあってのことと感謝に堪えない思いであった。森脇先生は、ご本人が東大の学生の時に東大見学ツアーに来た後輩のサポート役をされた経験があり、教官になられた後も機会があればと言われていたのを卒業生経由で耳にし、自分が顧問をしていたクラブに所属されていた縁もあってお話をさせていただいて、快くご協力いただくことになった。 出発当日の朝、全員が広島駅に集合し、新幹線のホームに移動するのを待っていた時、前々日に接近した台風7号の影響で点検のために新幹線が豊橋辺りで止まっているとの連絡が入った。出発予定時刻も過ぎた後「乗車予定の便は遅れて広島を出るが、安全が確保できてから次の駅に出発するので、何時にどこに着くのか、そもそも東京に着くのかは、乗ってみなければ分からない。」という情報が入り、最悪車中泊も覚悟して、40分遅れで広島駅を出発した。最終的に神戸で60分、東京駅には90分遅れで到着することができた。 農学部の見学は80分遅れで始まり、森脇先生の講演や農学部で学んでいるOBの先輩2人からの体験談を聞いたり、研究室の見学を行った。見学終了後のホテルでの行事の時間もあり、せっかく準備していただいた内容を全部はご紹介いただけなかったであろうことは非常に申し訳ない思いであった。 初日夜のホテルでは、関東同窓会の方々に準備していただいたOB講演会が行われた。講師は64回生の石田祐一郎弁護士で、高校生時代の話から現在の弁護士の仕事まで多くのことを、資料まで用意して話していただいた。石田先輩から、自分は最初から東大を目指していたわけではなかったし、4年の時には東大に通るような成績ではなかったが、この東大ツアーに参加してから東大を目指してみようと思うようになったなど、年齢が近いこともあり、生徒たちは非常に親近感をもって話を聞いていた。そして、同席のOBの方々も驚かれるほど多くの質問が出された。 2日目は、工学部機械工学科の見学を行った。ドローンの研究室では、空中で多くのドローンが自分たちでつながって橋を架ける技術や、災害時に自分で通過できる空間を見つけて自分で自分の形を変化させて通り抜ける技術の研究などに触れ、アニメから着想を得ることもあるなどと聞き、生徒は非常に興味をもっていた。 3年ぶりに実際に東京を訪れた東大見学ツアーで一番感じたことは「リアリティー」であった。暑い中、東大の門から研究室まで汗をかきながら歩く、前を見失うと迷子になると思いながら研究室をまわる、「それ〇千万円」と言われる機械や「これが自分で飛ぶんだよ」というドローンに触れる、「僕もこの東大ツアーに参加しました」という先輩から直接話を聞く、「私は修道にいた時に…な風に勉強して合格しました。君たちもできます。」と言ってもらう、すべてが、画面越しに見たり、文字を読んだり、スピーカーから聞こえてきたりするものとは違い、深く心と体に刻み込まれる感覚であった。 多くのOBの方々にご協力いただいて、久しぶりに東京を訪れることができ、久しぶりであったがために、より実際に触れることの「力」を痛感したツアーであった。実施に際してかかわっていただいた多くの方々に心から感謝申し上げたい。マラソン大会総合成績

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