●祝 卒 業2 第76回の生徒の皆さん、御卒業おめでとうございます。 卒業する皆さんに最近私が様々な場面において考え続けていることを、卒業を祝うメッセージとして送ります。 世の中が便利になり、私たちの欲望は環境が吸収してくれて、なんでも「自分の思いどおり」になる、そんな社会になっています。教育の世界でも、好きな時間に好きなことをリモートで学習できる通信制の学校に在籍する生徒が激増しているという事実があります。「自分の思いどおり」の学習によって高校卒業資格が取得できるのです。特に皆さんはZ世代と言われ、インターネット、スマホ所有の生活の中で、「自分の思いどおり」になるという価値観を自然と無意識に植え付けられているのかもしれません。そして、この価値観の中での生活が当たり前になってくると、「自分の思いどおり」にならなかったときの苦痛に対する耐性がほとんど無くなってしまいます。昨今、入社後すぐに辞めてしまう若者が多いことが社会問題としてメディア等で取り上げられていますが、不条理から発する苦痛に対する耐性が極端に低くなっていることがその原因の一つであるのかもしれません。また、多様性という言葉も現代社会のあり方を提唱するキーワードとしてあらゆる場面で見かけますが、このような耐性のない状態では、多様性も他者の価値観を受容するのではなく、「自分の思いどおり」 卒業おめでとう。この言葉を500回くらい繰り返した上で、「さて、この中に2つだけ『卒業めめでとう』があります。探しましょう。」と書いたらどうかと思いついた。字数制限? そんなのは気にしない。フォントを小さくすれば良いだけの話。いったん原稿を作って眺めてみた。気が良く、素直でノリの良い君たちが、我先にと取り組む姿が目に浮かび、、、やめることにした。6年学年主任 その作業は、AIの得意分野であり、これからの名和原 寛世界を預かる君たちが(暇つぶし以外の理由で)やっていい作業ではない。人に得意不得意がある以上に、人とAIの間にも得意不得意の大きな差がある。しかし、AIはその不得意分野を凄い勢いで埋めてきている。君たちが大学に通う間も、大きな変化があるだろう。2045年と予想されるシンギュラリティ(技術的特異点)も、実際に訪れるのか、それとも早まるのか、誰にも分からない。ただ、そんな時代が来て池内 啓山田 英輝小野 亮子廣田 将大大原 拓司西川 省吾小森 純一名和原 寛廣田 将大立上 博之森山 透吉村 誠司松本 涼介西川 省吾にするために自分の権利のみを主張するための理屈として誤用される可能性もあります。「自分の思いどおり」になる便利な社会に安穏としていると、私たちのレジリエンスを高めることはできないのです。 そういう観点から、今こそ教育の重要性を再認識すべきだと思います。現代の社会の状態とは異なる本来のあるべき社会の姿を凝縮したのが学校という小さな社会なのです。その学び舎には一般社会と同じく便利な施設や設備はある程度整っていますが、学校生活を実際に送ってきた皆さんは、決して「自分の思いどおり」になると感じたことはないはずです。なぜなら、成長過程の自身の内面の変化を自覚しながらの人間関係構築の困難さ、また、日々の真摯な努力が学習成果や班活動の実績に反映されないもどかしさ等、学校生活には様々な多くの不条理が生じているからです。 しかし、そのマイナスイメージの強い不条理さこそが、人間形成に必要な大切な要素であるというパラドックスに教育の本質を見いだすべきだと考えています。学校という小社会の中で、皆さんがその不条理なできごとに対峙しながら成長していくこと、その大切な体験をするために学校という学び舎があるのです。不条理なことに出会い、それを克服することで自然と耐性が涵養され、高いレジリエンスを身につけることができるのです。皆さんは修道を卒業する段階ですでに不条理を克服する高いレジリエンスを保有しています。皆さんの先輩はそれを「修道魂」と名付けました。皆さんがこれからの変化に富む社会を生き抜く力になると考えています。 最後に、本校の教職員を代表して、第76回の生徒のみなさんの卒業を心より祝福し、皆さんの輝かしい未来にエールを送りたいと思います。ありがとう!!から「さぁ困った」「対策を考えよう」では、少々お粗末である。 君たちであればどうするだろうか。君たちは修道で色々なモノを育んできた。例えば、柔軟な発想力、企画力、周囲との協働性、情報発信能力、かなり独特な感性などである。最初に書いた字数制限の話。私は、字数制限を「私が使うことができる紙面の範囲の制限」と読み替えて、「ならばフォントを小さくしよう」と発想した。社会に与えられた大きな課題とその解決も、同じことなのではないだろうか。問題の本質を捉え、様々なアプローチから解決策を導き出していく過程、それを精査し、さらに良い形にしていくというサイクル。先に書いた「修道で育んできたモノ」を使えば、このサイクルにあてはめて、世界を動かすことは容易であろう。君たちの活躍を広島から願っている。ただ、心配事を1つだけ。君たち、凄いのんびり屋だよね。行動を早く始めることを覚えようか。そうすれば無敵だわ。 ということで、76回生諸君、卒業めめでとう! 最後になりますが、保護者の皆様、ご子息のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。名和原 寛廣田 将大立上 博之森山 透吉村 誠司松本 涼介西川 省吾名和原 寛森山 透吉村 誠司廣田 将大髙木 亮治西川 省吾松本 涼介立上 博之名和原 寛森山 透吉村 誠司廣田 将大髙木 亮治山口 明範松本 涼介立上 博之西川 省吾校 長 田原 俊典池内 啓山田 英輝小野 亮子廣田 将大大原 拓司西川 省吾小森 純一2018年度学年主任1組担任2組担任3組担任4組担任5組担任6組担任7組担任8組担任2019年度1年2年2020年度3年2021年度2022年度4年5年2023年度6年●宿題■ 76回生 歴代学年主任・担任一覧卒業特集
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