修道学園通信 vol.113
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4進路部長 遠藤 伸彦 共通テスト3年目の2023年度入試であった。予想に反して前年のセンター試験より平均点が上がった1年目、難化必至と言われる中、予想をはるかに超え、7科目の平均点がセンター試験を含めて史上最低となり歴史的難化となった昨年の2年目、平均点が20点弱下がった数学ⅠA・数ⅡBを中心に昨年度のレベルが維持されるのかどうかが注目された今回の3年目であった。あけてみると、数学2科目の平均点は20点弱アップして1年目のレベルに戻った。大学入試センターが、努力をした者もそうでない者も同様に点が取れないとでも言うべき昨年のレベルを可としていないことが分かって安堵した思いであった。報道では数学の大幅な平均点アップばかりが取り上げられ、全体的に易化したような印象が広がっていると感じられるが、そうとは言えない。ほぼ全員が受ける国語・英語の3回の共通テストの平均点の推移は次の通りである。 国語:117.51 → 110.26 → 105.74 リーディング:58.80 → 61.80 → 53.81 リスニング :56.16 → 59.45 → 62.35 今回、国語とリーディングは3回の最低点であった。リスニングがアップすることでバランスが取れているように見えるが、「リーディング100点+リスニング100点」を「リーディング100点×1.5+リスニング100点×0.5」でトータル200点のように、各大学が自由に比率を変えることが認められており(「傾斜配点」と呼ぶ)、多くの難関大がリーディングとリスニングの比率を4:1や5:1としているため、リーディングの平均点が下がることの影響は小さくはない。予備校が推定する900点満点での平均も文系・理系ともに徐々にダウンしてきている。 注目すべきは平均点だけではない。難関大を受験する目安となるのが総点900点で得点率80%の受験生が全国にどれくらいの数いるかである。平均点が上がっても、上位層が高得点を取れていないケースや、その逆もある。予備校が推計する分布では、今回の得点率80%の受験生の数は、昨年は上回っているものの、文系・理系ともに一昨年の3/4程度であった。受験者全員に影響を与える英語と国語を中心に、センター試験の時代よりも高得点が取りにくい状況になっている。難関大を狙っている受験生も「平均点上昇とばかり報道されているが、もうちょっと取れてもよかった」と感じながら受験に臨んだのではないだろうか。 今春卒業した75回生の高校生活は3カ月のコロナ休校の最中に始まった。授業が本格的に再開された6月以降は、先取りをしている科目では高1範囲の終盤から高2範囲を猛ダッシュで進めなければならない状況となった。久々の学校で、友達と時間を過ごすことの楽しさを味わっているうちに4年は終わりを迎え、生徒の顔がやっと「その気」になってきたのを感じたのは5年の半ばであった。決して順調な滑り出しとは言えなかったが、学年では叱咤よりも全ての生徒を下から支え続けるという方針で接したと聞いている。生徒たちは明るくて人懐っこく、教員団との関係も良好であった。上級の生徒にとっては顔を見る時には勉強や進学の話しかしない「説教くさい存在」の象徴とも言える私にも、廊下ですれ違う際に笑顔で挨拶をしてくれる生徒がたくさんいた。 次は、一昨年までの10年間の平均値と今春卒業の75回生の2023年度入試を比較した表である。「決して順調ではない」どころか「波乱に満ちた」滑り出しで、コロナに翻弄された3年間であったとも言えるだろうが、生徒たちは修学旅行が中止になってもふて腐れることなく、息切れすることもなく、最後まで明るく、元気に、先輩たちの結果に追いついてくれた。その姿を、恐らく内心では「やきもき」しながらも我慢強く下支えしていただいた学年団にも感謝したい。 既卒生については、現役時の共通テストが史上最難であったことを受け、多くの生徒が目標点に届かず、一旦は沈み込んだ気持ちから志望大学をゼロから再検討し、気持ちを奮い立たせて受験に臨み、やっとの思いで合格した大学に多くの生徒が進学した。超難化ながらもどうにか得点することができた層の多くは進学し、予備校等にお世話になった既卒生は例年の2/3程度であったが、過去10年間の既卒生の国公立大合格者平均が72.6人であるのに対し2023年度は53人と、例年の3/4という高い割合で合格する頑張りを見せてくれた。 下の表はBコースからの合格者である。多くの生徒が努力を続ければ高い目標を達成できることを証明してくれている。愛媛大・琉球大の医学部医学科に合格した2人は浪人2年目であった。近年、浪人1年目の途中で方向転換をしたり、共通テストで目標点が取れないと学部を変える医学部医学科志望生が増えていると感じている。もちろん自分の進路を柔軟に考える姿勢も大切ではあるが、一旦決めた自分の人生の目標を貫き通す気持ちも持ってもらいたいと願っており、揺るぎない志望理由を持たせる指導を一層深める必要を痛感している。 予想しない困難に直面した時でも、生徒を支え、生徒と歩む学校でありたいと考えている。Bコースからの合格者                 北海道大・医他(1名)九州大・工(1名)東京都立大・工(1名)横浜国大・工(1名)慶応大・文(1名)立教大・文(1名)2023年度2013~2022年度平均   7.6東大・京大現役合格者数  12.2東大・京大・国公立医学部医学科現役合格者数  15.9超難関5大学現役合格者数  32.9難関10大学現役合格者数  91.9国公立大学現役合格者数 ※ 東京大・京都大・大阪大・東京工業大・一橋大が「超難関5大学」と、それに北海道大・東北大・名古屋大・九州大・神戸大を加えて「難関10大学」と呼ばれている。 8 12 15 33 94現役生大阪大・基工(1名)名古屋大・理(1名)九州大・歯(2名)、工(1名)神戸大・法(1名)、工(1名)横浜国大・営(1名)、工(1名)愛媛大・医医(1名)琉球大・医医(1名) 岡山大・歯(1名)大阪公立大・経(1名)慶応大・商(1名)早稲田大・創造理工(1名)     人間科学(1名)中央大・法(1名)既卒生2023年度 大学入試結果報告

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