修道学園通信vol.107
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2校長挨拶修道の教育活動にいつもご理解とご協力をいただいている皆さまに、教職員を代表してご挨拶申し上げます。現在、学校では、学校休業中の登校日の設定等の新型コロナウイルス感染拡大防止対策に関する様々な対応をしている最中です。当たり前のことが当たり前にできない学校現場の中で私自身が考えていることを述べさせていただきます。突然大げさなことを述べますが、この度の新型コロナウイルスの感染拡大という非常事態の状況下で、私は、人は誰しもが死という「限定」の中で生きているということを強く意識させられました。普段、文明の利便性の中で安定的な日常を送っている私たちにはこの「限定」を意識することは滅多にありません。日常生活において、人間の最大の「限定」である死を意識して、目の前の事象や他者の言動の価値を決めることは、よほどの危機的な場面に遭遇する以外はほとんどないと思います。野球を観戦している時に、ホームランよりもすごい飛距離の大ファールを場外に放っても、ゲームの攻防には全く何の影響もないことは理解できます。野球のルールという「限定」を意識できているからです。すごい飛距離の大ファールは野球というルールのあるゲームではすごくないのです。しかし、昨今、世の中全体が、野球のルールという「限定」を全く知らない人のように、その飛距離のすごさを賛美し、大ファールを打った打者に高い評価を与えているような傾向にあるのではないかと思っています。私自身も安全、安定した日常の中で「限定」を意識しない価値観に振り回されているような気がしてなりません。今、私たちはコロナウイルスによって、自分の命を意識させられる中で人との距離を問われています。換言すると、私たち自身ではどうすることもできない「限定」=距離というものを前提として生きているということを、私たちがコロナウイルスに寓意として提示されているともいえます。現在、テレワークによる仕事や様々な場面でのオンラインによる人間関係の構築など、一見距離感という言葉とは無縁のネット上でのやりとりが、社会全体のコロナ危機の救済となっています。教育の世界もその正当性を主張しています。そのこと自体を否定するつもりもなく、そうなる必然性も私なりに理解して学校現場でも積極的にオンライン教育を取り入れています。しかし、その取り組みには留意すべきことがあります。私が常に自分に問いかけているのは、オンラインの利便性を重視する価値観が、大ファールをすごいと思う価値観と同じになってはいないかということです。大ファールにホームランの価値を与えるには、大飛球をルールで決まっている「限定」されたフェアグラウンド内に放つ必要があります。オンライン教育の場合も、私たちのリテラシーを向上させていくことだけに価値を置くのではなく、その高度なリテラシーによる利便性が、私たちの人間関係における距離感という「限定」の中で発揮されることではじめて教育的に価値があるものになるのです。最後に、今回の新型コロナウイルス感染拡大の中、あらゆる立場から感染拡大防止のために献身的なご努力をされている方々に深く敬意と感謝の意を心から表するとともに、私たち教職員一同、今後の非常事態に備えて、「限定」を意識したオンライン教育を創造することを使命として鋭意努力して参ることをお伝えして、皆さまへのご挨拶とさせていただきます。ご挨拶ー近況報告ー校 長 田原 俊典新任挨拶新教頭補佐田嶋 克宏新型コロナウイルス感染症(COVID19)の脅威が社会生活の様々な面に拡がっています。教育においても影響は甚大であり、修道も5月末に至るまで通常の授業や行事を行うことができませんでした。ご存じのとおり、修道でもICTによる動画配信や遠隔授業のチャレンジが急速に拡がりました。教員・生徒ともに戸惑いはありましたが、どんな機会・方法であれ、学習にコミットできることが分かったのは収穫であったと思います。新しい感染症と社会の関係が今後どうなるかは予測できません。多くの識者が言うように元の世界には戻れないのでしょう。そこで、コミュニケーションの意識やスタイルも変化させつつ学びを高度化させていかなければなりませんが、今こそ、修道の力強さやおおらかさが大きな力を発揮すると思います。私も教頭補佐として力を尽くす所存です。修道に関わりを持つすべての方へ、ともに前へ進んでいきましょう。新PTA会長挨拶新PTA会長松本 仁志「絆」今年の新型コロナウイルスの件で目の前に突きつけられた一文字です。感染拡大防止のために否応なく繋がりが断たれ、それ迄は感覚的に頭の隅っこで分かったつもりになっていましたが、自分の仕事も日々の人間関係もみんな有機的に繋がっていて社会を作り自分を支えてくれている…それが目の前にはっきりと現れた気がしました。修道の大きな特徴の一つは、この人間的な繋がり「絆」が強い事ではないかと思っています。繋がりの強さは、個人的な能力と共に、社会に出て生きる為の特に心を支える大きな力です。PTA会長として、この伝統を継承してゆけるよう保護者の皆様と学校を繋ぎ円滑な学園運営に協力してゆくことで、先生と生徒、生徒同士、保護者同士の「絆」作りの手助けが出来ればと考えています。一年の任期を終えた時に、関係される皆様の繋がりがより強固に、そしてより暖かく感じていただけるよう微力ながら努めて参りたいと思います。皆様のご協力をよろしくお願い致します。

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