修道学園通信vol.106
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5The Shudogakuen News vol.106 本校の海外研修プログラムは16年前の2003年度に、メルボルン郊外の2つの「小学校」の各一室を研修会場とするところからスタートしました。当初は「国際理解」をその主な目的とし、参加希望者のなかから30名を選抜して、3年生の夏季休業中に実施していました。これは小学校側の受け入れ人数に制限があった(1校15名まで)ためでした。 また校内で実施される「英語を使用言語とした研修プログラム(エンパワーメントプログラム)」が始まったのは、2015年度冬季休業中(3・4年対象)でした。「自分の将来の夢を見定めること」を目標としたプログラムで、初年度は、定員の50名を上回る64名が参加し、好評を博しました。 従来から、長期休業中に実施される上記両プログラムには、班活動をはじめさまざまな理由により「参加したくても参加できない」と訴える生徒・保護者のみなさんからの声が寄せられていました。そして国内外問わず、グローバル社会のなかで「未来のリーダー」として活躍することを目論む、あるいは期待される修道生に、両プログラムのいずれかへの参加を保障することは、本校にとって喫緊の課題となっていきました。 その課題を克服するべく「年間カリキュラムに組み込まれている(授業日を利用する)」「生徒が希望したコースに参加できる」という条件を設定し、本年度11月第2週・第3週に3年生全員を対象とした「フューチャーリーダーズプログラム(FLP)」をスタートさせたのでした。 本プログラムは、2017年度以降シドニーのニューサウスウェールズ大学(UNSW)に研修会場を変更した「オーストラリア研修」と2015年度にスタートした「エンパワーメントプログラム」を核にしながらも、修道生のために独自に開発されたもので、「未来のリーダーとしての資質・能力を高める」ことを、SHUDO・UNSW両コース共通の目標に据えました。実施にあたっては「事前事後研修を充実させ(2時間単位で計8回)、プログラムを修道での6年間のまなびの柱とすること(単なる「イベント」に終わらせないこと)」「(すべての時間帯ではないにせよ)『なりたい自分』のモデルとしての大学生(留学生)のサポートを、生徒5〜6名にひとりの割合で受けることで、生徒の高い志を育むこと」に留意しました。両コースの最終日には参加生徒ひとりひとりが、「自身が2週間の研修の中で学んだことを基に、将来の夢を見定め、その実現に向けて今から具体的に何をしていくと決意するのか」を英語で発表する場を設けました。(報告会では保護者の皆様の前でも発表してもらいました。) 以下の両コースの報告でも述べられているとおり、多くの成果と課題が明らかになった初年度のFLPでした。実施にあたって、3年生の生徒・保護者のみなさまをはじめ、多くの方々のご理解・ご協力を賜りましたことに、この場を借りて感謝申し上げます。「3年FLP」初年度実施を終えて 上田 道浩(高校教頭) 11月9日〜11月24日の16日間、第3学年155名を対象にFLPのUNSWコースが実施されました。155名が豪州にて、2人ペアで1つのホームステイ先に滞在し、世界的にも名高いUNSW大学で2週間All Englishのレッスンを受講しました。 ホームステイにおいては、当初日本との文化差や、自身の家庭環境との違いに驚き、当惑する様子もありましたが、2週間の中でお客様ではなくファミリーの一員としてそれぞれ絆を深めていました。 UNSWは教育実績もさることながら、教育環境も素晴らしく、シドニー近郊にも関わらずたくさんの緑と現代的で美しい学部棟が連なる美しいキャンパスを有していました。彼らは口々にその感動を話し、その中での学びを満喫しました。授業は留学生の入学前の英語力向上を主眼とした語学教育棟で行われ、生徒の英語授業を担当される講師陣は、留学生を指導してきていらっしゃるのでどの方もスキルフルで生徒たちにしっかり学びの火をつけていただきました。また、生徒4人につき1人UNSW現役大学生がサポートで付き、フレンドリーに生徒たちを導いてくれました。生徒たちは大学生たちに未来の自分を重ね、「自分もあんな風に海外の大学に進学したい」、「彼らのように英語を話せるようになりたい」など強烈な憧れを抱いていました。授業が進んでいくうちに、休憩時間でも生徒同士が英会話する姿も見られるようになりました。 日々授業を受けるだけでなく、コースには半日遠足も含まれており、シドニー市内、ボンダイビーチや美術館、大学内の様々な施設など様々な場所を訪れました。また、シドニー市街での自由散策や、ビーチのゴミを拾いながら環境問題を考えるツアーなどを通して、机上ではできない体験もさせていただきました。 研修の最後には、グループでも個人でもパワーポイントと英語で大勢の前でプレゼンを行い、彼らの中にも成長実感がこみあげている様子でした。 UNSWの皆さんや、ホストファミリーとの別れを惜しむ姿から、たくさんのご支援の中で多くの愛情を受け、人間的に大きく育てていただいたことを感じました。 60万という研修費は高額です。ただ、修道教員(5名)と添乗員(5名)、現地ISAスタッフ(3名)を含め10名を超える引率団が付き、現地でのすべての移動にバスがチャーターされているという安心感の大きい研修でした。また異国の地で優秀な講師や大学生たちに囲まれて大学生活の一端を体験できたこと、ホームステイを経て日本や自身の家庭環境への感謝が芽生えたことなどは付加価値の高いものだと感じます。 最後に、16日間密度の濃い時間を過ごし、無事に成長した姿で帰国できたことを大変喜ばしく思います。彼らの中に、自信が芽生え、将来への希望を大きくする契機になったと思います。「3年FLP【UNSWコース】」報告 藤島 真介(3年担任) 11月11日から22日までの2週間、132名の3年生を対象にFLPのSHUDOコースが実施されました。11日には広島大学を見学しました。世界に4カ所しかない両生類研究施設や、長さ100mもある巨大な水槽など、広島大学でしか味わうことのできない貴重な体験に、生徒も大学へのあこがれを強くしていました。翌12日から16日までをweek1とし、16〜17人ごとに1名の外国人講師がついて授業が行われました。簡単なスピーキングのトレーニングからグループディスカッション・プレゼンテーションに至るまで全て英語で、正直かなり疲労感を感じる内容でしたが、そんなときには外国人特有の息抜きが。バナナダンスやシューマイジャンケンなど、体を動かしてリフレッシュしながら最後まで集中力をもってプログラムに取り組めました。 18日から22日のweek2は、4教室に分かれてそれぞれにファシリテーターとして外国人講師が、さらに5〜6人の小グループごとに1人ずつ、国内の大学に留学中の大学(院)生が加わってプログラムが実施されました。用意されたプログラム以外にも彼らは貴重な体験をすることができました。まず、英語を母国語としない留学生どうしが、流暢な英語でコミュニケーションを取っている様子を目の当たりにし、国際語としての英語を学ぶことの意義をより強く感じることができました。また、昼休憩には留学生たちとサッカーをし、楽しく英語を使うチャンスをゲット。様々なおまけのついたweek2でした。最後の場面ではよくしてくれた留学生とハグをしたり、手紙を書いたりして別れを惜しみ、充実した2週間であったことが伝わってきました。 2年生はすでに事前学習がスタートしています。バランスの取れたリーダーとなるために、FLPだけor日頃の勉強だけとどちらかに偏ることなく満遍なく取り組んで、今年度同様、よいFLPにしてもらいたいと思います。「3年FLP【SHUDOコース】」報告 名和原 寛(3年担任)

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