修道学園通信Vol.98
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卒業特集The Shudogakuen News vol.982年  度201020112012201320142015学  年123456学年主任久保田 寿久保田 寿久保田 寿久保田 寿久保田 寿久保田 寿1 組藤田 昌信松川  聡中﨑 真介中﨑 真介池内  啓池田 健太2 組幸野 美紀池内  啓皆戸 祥成皆戸 祥成森脇 啓介皆戸 祥成3 組光永 弘之藤田 昌信町  一誠町  一誠中﨑 真介有田 公一4 組有田 公一管野 泰久野上 知宏野上 知宏湯川  久森脇 啓介5 組松川  聡光永 弘之井山 朝之井山 朝之町  一誠湯川  久6 組池内  啓有田 公一信重 昌彦信重 昌彦皆戸 祥成中﨑 真介7 組有田 公一森元 雅貴8 組池内  啓■祝 卒 業 第68回の生徒のみなさん、御卒業おめでとうございます。また、保護者の皆さま、ご子息のご卒業を心より祝福申し上げます。 卒業生の皆さんが、将来活躍する社会はすでに大きく変わっています。世界のグローバル化、仕事の自動化、今までにはなかった新しい職種の増加など、皆さんも今後の社会がどのように変化していくかについては、すでに理解しているとは思いますが、今後さらにその変化は加速していきます。そのような社会に適応するためには、かなり高度なスキルとクリエイティブな能力が必要とされています。 その現状を踏まえ、今教育界では「主体的に学ぶ力」が重要視されているのです。流行とも言えるほどの勢いで、どの学校でもアクティブラーニングという言葉が横溢し、生徒たちが能動的に学習するための授業改革が急速に進められています。学ぶべき知識は各分野の研究開発により年々膨大にふくれあがっています。その膨大な知識を完全に習得することすら困難であるにもかかわらず、現在の教育界のスローガンは、知識だけを有しているのでは間に合わない、その知識を利用して未知の知恵を生み出す創造力が必要であるという高い次元のものなのです。 確かに激変する社会に対応していくには、未知の課題を解決するクリエイティブな能力が必要となります。しかし、このクリエイティブな能力というものは、一定の教育方法論やある特殊なカリキュラムのみによって涵養できる能力ではないと考えます。また、相当の深い知識と専門性が前提としてなければ、創造する領域には到達することなどできないことも明白な道理だと思います。多様性のある知的好奇心を発揮し、真の知識と専門性を身につけ、さらにそれを土台にクリエイティブな能力を醸成させるという緻密なプロセスを完了させるためには、私の経験則からすると、何より学ぶ者の「豊かな人間性」が必要であると思います。この「豊かな人間性」という言葉は、あまりにも当たり前過ぎて、また抽象的過ぎて、大切な場面でよく見落とされてしまう視座であると考えています。 その「豊かな人間性」を涵養するには、様々な学校のスタイルの中で、長い時間をかけて自然に構築された教育環境が必要であり、理論を越えたところで切磋琢磨できる環境が必要なのだと思います。この「豊かな人間性」が必要だという考えは私が各界のリーダーとして活躍され、それぞれのクリエイティブな能力を発揮されている多くの本校の同窓生との邂逅から実感している経験則です。 私学修道には、理論を越えた教育環境が存在していると確信しています。 卒業生の皆さんにも、今は自分では気づいていないクリエイティブな能力が必ずや開花する時期が訪れます。本校の学校生活全般での体験や様々な人間関係から涵養された柔軟かつ強靱な精神力を信じて、自分の夢だけではなく、世界の人々の夢の実現のために、様々なことにチャレンジしてほしいと思っています。 最後に、本校の教職員を代表して、ここに第68回の生徒諸君の卒業を心より祝福し、一人ひとりの将来にエールを送り、お祝いの挨拶といたします。■68回生の皆さんへ 「私の次の楽しみは2016年の3月、皆さんが18歳になって卒業式を迎えるときです。そろって『かっこいい青年』になり、卒業してくれる日を、今から期待しています」 忘れられているに違いないが、6年前の4月7日水曜日6限、十竹ホールで入学2日後の皆さんに向かって、私が言った言葉である。そしてウソのようだがその日が来た。6年経ったのだ。時間って本当に不思議だ……「それまでに1回オリンピックがあり、1回冬期オリンピックがあり、卒業するころには『あー受験勉強しんどかった、今年はブラジルでオリンピックがあるなー』って言ってる」とも話した。はい予言的中(苦笑)。 最後の機会なので「時間」について書こうと思う。「昔を懐かしもう」「時間を大切にしよう」などではなく、皆さんが未来への希望を持つような、明るい話をしたい。 今までの勉強では、「正解」がすぐにわかった。解答を見て間違えた部分を直せば終わりだった。しかしこれからは、そういう体験は減っていくと思う。大学での研究は、仲間と役割を分担しての共同作業。他人のペースに合わせる必要があるし、自分が他人の足を引っぱることもある。方法や仮説の正否が判明するのに数週間、結果が出るのは数ヶ月後、など普通だろう。今後、皆さんが経験する時間は、そうした重苦しい不安が大半を占めるようになると思う。だから「正解は時間が経たないと出ないぞ。じっと待つ辛さ、心もとない時間に耐えて生きろ」と言っておきたい。……あまり明るい話になってないね。 「人生は死ぬまでの暇潰し」とかいう名言が嫌いだ。あんたそんなにヒマなの? と反論したくなる。「時間に流された生き方」とは、そういうのを言うんではなかろうか。 これから、あらゆることが変わっていく。まず環境。広島を出ようが地元にとどまろうが、所属団体が変わるのは、人生の一大事である。面倒な入学手続きをし、金を払い、前人未踏の世界に向けて歩き出すのだ。そして自分自身。新しい友達と出会い、価値観を揺さぶられる。時には「裏切られた!」と思ったりする。面倒な人間関係はイヤだ、などと孤高を気取っていると、それこそ「時間に流された生き方」を始めてしまっている。 目の前の新しい世界、未知の時間の流れに翻弄され、否応なく変化していく自分自身を、しっかり目を開き、感受性を全開にして感知し、味わってほしい。その嬉しさや達成感、虚脱感、または困惑、等々。プラスの気持ちもマイナスの感情も、全部ひっくるめて記憶しておいてほしい。それが皆さんの「原点」になるんじゃないだろうか。時間に流される、ではなくて、「時間に食らいついていく生き方」と名付けてみました。どう? 最初に戻るが「皆さんはかっこいい青年になったか?」なったとも。そして私の次の楽しみは「皆さんがもっとかっこよくなること」。卒業おめでとう。すばらしい時間を!校 長 田原 俊典6年学年主任 久保田 寿68回生 歴代学年主任・担任一覧

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